
FXトレードにおいて、クロス円(EURJPY, GBPJPYなど)とドルストレート(EURUSD, GBPUSDなど)では、値動きの特性が異なります。特に、クロス円はレンジ相場になりやすく、ナンピン戦略が機能しやすいと言われています。
一方で、ドルストレートは一方的なトレンドが発生しやすく、ナンピン戦略がうまくいかないことが多いです。
なぜこのような違いがあるのか?本記事では、クロス円とドルストレートの違いと、それがナンピン戦略にどう影響するのかを詳しく解説します。
クロス円とドルストレートの違いとは?
まず、クロス円とドルストレートの定義を確認しましょう。
✅ クロス円(EURJPY, GBPJPYなど)とは?
- 日本円(JPY)が絡む通貨ペア。
- 例:EURJPY(ユーロ円)、GBPJPY(ポンド円)、AUDJPY(豪ドル円)など。
- 価格はドルを介して決まる。
- 例:EURJPY = EURUSD × USDJPY
✅ ドルストレート(EURUSD, GBPUSDなど)とは?
- 米ドル(USD)が絡む通貨ペア。
- 例:EURUSD(ユーロドル)、GBPUSD(ポンドドル)、AUDUSD(豪ドル米ドル)など。
- 価格は直接市場で決まる。
この違いが、トレンドの出やすさやレンジの形成に影響します。
なぜドルストレートはトレンドが出やすいのか?
✅ 理由①:米ドルは世界の基軸通貨であり、影響力が大きい
FX市場で最も取引量が多い通貨は「米ドル(USD)」。 そのため、米国の経済指標や金利政策が発表されると、ドルストレートは一方的に動くことが多い。
例えば、
- FRB(米連邦準備制度)が利上げを発表すると、USDが買われ、EURUSDやGBPUSDは急落しやすい。
- 米国の雇用統計が強いと、ドル買いの流れが生まれ、ドルストレート全体でトレンドが発生しやすい。
✅ 理由②:ダイレクトにドルの影響を受けるため、動きが直線的になりやすい
- ドルストレートは「ドル vs 他の通貨」の構図なので、強いトレンドが発生しやすい。
- 例えば、EURUSDが上昇する場合、米ドルが売られる動きがそのまま反映される。
- その結果、一方向のトレンドになりやすく、レンジ相場になりにくい。
このため、ナンピン戦略を使うと、トレンドに逆らって含み損が膨らみやすいリスクがある。
なぜクロス円はレンジ相場になりやすいのか?
✅ 理由①:クロス円は「ドルを介して価格が決まる」
クロス円のレートは、USDを経由して決まる。 例えば、EURJPYのレートは以下のように決まります。
EURJPY=EURUSD×USDJPY
この計算式からわかるように、クロス円はEURUSD(ユーロドル)とUSDJPY(ドル円)の影響を同時に受ける。
そのため、
- EURUSDが上昇しても、USDJPYが下落すると、EURJPYはそこまで上がらない。
- USDの影響が打ち消されることがあるため、トレンドが継続しにくく、レンジ相場になりやすい。
✅ 理由②:日本円は安定した通貨であり、過激な動きが少ない
- 日本は長年「低金利政策」を続けており、金利変動が少ない。
- そのため、ドル円(USDJPY)が極端に動きにくく、クロス円全体のボラティリティが抑えられる。
- 結果として、レンジ相場が形成されやすい。
✅ 理由③:東京市場の影響で、レンジ相場になりやすい
- 東京市場(9:00~16:00)は、日本の機関投資家の取引が多く、大きなトレンドが出にくい。
- そのため、東京時間はレンジ相場になりやすく、短期的な逆張り(ナンピン)が有効。
クロス円がナンピン戦略と相性が良い理由
✅ 理由①:レンジ相場ではナンピンが機能しやすい
- 一方向のトレンドが出にくいクロス円は、一定の範囲で上下しやすい。
- そのため、ナンピン戦略を使ってポジションを分散すれば、平均取得価格を調整しながら利益を狙いやすい。
✅ 理由②:東京時間の動きと逆の動きがロンドン・NY時間に出ることが多い
- 東京時間で一方向に動いた後、ロンドン市場・ニューヨーク市場で逆方向に動くことがよくある。
- この特性を利用して、ナンピンを仕掛ける戦略が有効。
✅ 理由③:ボラティリティがあるため、ナンピン後の戻りが期待できる
- ポンド円(GBPJPY)などはボラティリティが高く、大きく動いた後に戻る傾向がある。
- そのため、ナンピンでエントリーしたポジションが救われやすい。
まとめ
✔ ドルストレート(EURUSD, GBPUSD)は、ドルの影響をダイレクトに受けるため、一方的なトレンドが発生しやすい。 ✔ クロス円(EURJPY, GBPJPY)は、ドルの影響を間接的に受けるため、トレンドが継続しにくく、レンジ相場になりやすい。 ✔ レンジ相場ではナンピン戦略が有効であり、クロス円はナンピンに向いている。 ✔ 東京時間での値動きと逆方向に動くことが多いため、それを狙ったトレード戦略が有効。
結論:ナンピン戦略を使うなら、ドルストレートよりクロス円の方が向いている!